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鷽の宿木

戦国無双シリーズ 真田幸村総愛され欲を書き散らすブログ。幸村を全方位から愛でたい。

奇病にかかったー1(政幸)

【幸村は左目から真っ赤な花が咲く病気です。進行すると感情の起伏が激しくなります。花の蜜が薬になります。】


日毎に鮮やかさを増す花の奥にある筈の目玉は果たしてどうなっているのやら。
潰れてしまっているのか根が絡んで守られているのか、どうであれ、これでは見えぬことは明白だ。
あれほど穏やかで腹の底が読めずにいた幸村は近頃はわかりやすくしょげている。
鬱鬱として涙すら零す様には息をのんだ。この男も泣けるのだ。
奇特な病に冒されたことで、鬼ではなく人なのだと知れて安堵すらして、同時にやけに胸が騒ぐ。
他人の願いを映す鏡のような幸村の心が、どんどん剥き出しに晒されて、嘘偽りようがない。
「庭にでも出て日にあたらぬか、生白くなりおって」
ぴしりと伸びた背筋はかつての凛とした姿を形だけ残しているものの、声に振り返った顔は涙を滴らせている。その塩辛い雫でも花は枯れてなくなりはせず、むしろ一層悩ましく香る。
「腑抜けた貴様を見るのは儂と小十郎くらいよ。今更恥などとぬかすまいな。それ、出るぞ」
言って掴んだ幸村の手はひんやりと心地よい冷たさをしている。花の温度だ、と思う。尚顔を伏せて唇を噛む幸村の左目を塞ぐ赤い色がまた濃くなっていた。病は重く身を蝕み続けているのだろう。
「貴様の左目、儂の右目。欠けたる者同士、丁度好い、ひとりぶんじゃ」
そう微かにわらって政宗は腕を引いた。
 

* * * * *

奇病にかかったーの診断が素敵にツボをついてくるのでツイッターで練習がてらちまちまやってます。おお灯ノ守 診断に頼らねばネタが出ぬとは情けない とも思いますが自分の頭にないものをぱっと放ってくれるの便利。 

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