[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
戦国無双シリーズ 真田幸村総愛され欲を書き散らすブログ。幸村を全方位から愛でたい。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【幸村は左目から体を覆う蔦が伸びてくる病気です。進行すると自我を失います。星のかけらが薬になります。】
「囀りの教え方を間違えたのかい?」
自分とは目を合わせることのない父親が熱心に見守る先にいるものを、子供じみた独占欲で隠すことなど隆景はしない。
「いいえ。忘れてしまうのです。覚えは良いのですけれど」
頬に手を伸ばし今朝方萌した柔らかな芽に触れる。このまま育てば葉は視界を遮るだろうから、今の内に千切ってしまう。
左目から伸びる蔦が絡まる部分は徐々に広まっており、首に巻きついて絞まらないよう注意してやらねばならない。
奇異なる病に侵された憐れなひとは、正気であればさぞかし己が姿を嘆こうものだが、当人は寝起きのようなぼんやりとした顔で安穏とされるがままに座っている。
「幸村殿」
呼ばれたことに応えてというより、声に反応して彼は口を開いた。
「あに、う、え?」
望む名前は得られず、元就から受けた指摘を早速耳にすることになってしまった。
が、あくまで予測通りで、いつものことであるから、隆景は悠然と微笑む。
「たかかげ、ですよ。幸村殿」
「た、か、か、げ・・・ゆ、きむ、ら」
「以前より舌が重くなりましたね」
たどたどしい鸚鵡返しに感じるのは庇護欲と胸の高鳴り。それから一片の憐れみ。
彼は自分自身を失っている。
今日教えることもまた、明日には忘れる。
いつまでも正しく鳴けない、籠の中の病んだ鶯。
「春告げ鳥が、歌う季節を誤っては凍えてしまいそうだ」
こんな状態の幸村を幾ら愛しても愛されることなどない、と解りきった事実を例える元就へ、隆景はごく穏やかに言った。
「この子こそが春ですよ」
誰に対しても礼儀をもって境界を引く隆景の、煮溶かすような甘やかした言い様に、親として垂れる説教は不要だと元就は悟る。
上辺だけ諦念を装い溜息をついている間にも、ここはどこだろう?わたしは?あなたは?と空っぽの記憶に浮かぶ疑問を呟きだした幸村を隆景が丁寧にあやしていた。
* * * * *
基本幸村はお花ちゃんなんですが、対毛利親子だと鳥に例えたくなる。
かーごーめ かーごーめ、かーごのなーかの とーりーはー♪